2010年12月07日

NHK政治部の山口太一記者について・・・

今朝、吉田健正さんのタイムスへの投稿記事を書き起こそうとしていると、すでにカナダのピースフィロソフィー研究所さんが記事を掲載してくださっていました。

まずは、2010年11月29日(月)放送のNHKクローズアップ現代「“普天間”はどこへ~沖縄の選択~」辺野古はダメだという仲井真県知事のあと、番組の締めでの山口太一記者の発言です。番組中での沖縄県知事発言を受けた風に装いながら、沖縄県民の思い、長年に渡る苦しみをすべて無視し、日本の首脳は辺野古を埋めるために沖縄県民にあやまり、理解させ、米国に尽くすべきと訴えています。これは酷い。
■政治部 山口太一記者
   普天間基地 今後の日米交渉は
>>アメリカのスタンスというのは決まっているんですね。普天間基地を、辺野古に移設するか、そうでなければ、普天間基地はそのままという、かたくなな姿勢です。これは日米両政府で合意したから、それでやってくれという、二者択一なんですね。菅さんは、来年の5月にはアメリカに行きますので、そのころには一定の道筋をつけろというふうに、アメリカから要求されるという可能性もあると思います。
   日本政府の対応について
>>今の知事の話を聞いていてもそうなんですが、まずは鳩山政権が、県外という期待を抱かせて、そして実現できなかった。それを率直におわびすることが大切だと思います。菅さんが、これから沖縄のほうに足を運んで、どうして辺野古に戻ってきてしまったのかという説明が十分ではないので、それをきちんと説明して、おわびすると、それがまず第一歩だと思います。(NHKホームページより)
このところの政府の「理解していただく」という「一方的強要」とその民意を無視し続ける姿勢を、無批判に追従するメディアの論調には、日本というクニを恣意的に煽動し「だれか」の都合の良いように沖縄を支配し、踏みにじろうとする醜い意図を感じずに居られません。

乗松聡子さんには19日のシンポジウムにも参加していただく予定ですので、みなさんいらしてくださいね。山口太一記者についてノンフィクションライター渡瀬夏彦さんも筆先鋭く言及されています。こちらもご覧ください。

以下、ピースフィロソフィー研究所より転載させていただきます。
吉田健正 「NHKに問う」Yoshida Kensei: Challenging NHK
Author Yoshida Kensei challenged the NHK program "Close-Up Gendai" on November 29.

PEACE PHILOSOPHY CENTRE

11月29日放映NHK「クローズアップ現代」についての吉田健正さんの意見です。12月5日「沖縄タイムス」に掲載されました。私も吉田さんの意見に賛成です。このNHK政治部の山口記者は、仲井真さんが当選して「正直言ってほっとしたという気持ち」というのを他の番組でも言っていた。このことについては選挙後すぐ書いた英語投稿にも書いた。どうしてメディアの一記者が仲井真氏当選にそんなに「ほっと」するのか。「仲井真は辺野古を受け入れたことのある、県内移設反対とまで言わなかった人間だ。仲井真相手なら『負担軽減』と経済振興策のセットで辺野古案に向けて懐柔できる。ああよかった」ということか。どうして現政府の手先のような行動を取るのか。政府を批判するのではなく政府の代弁しかしないマスコミとは政府広報機関、大本営発表の媒体でしかなかった戦争中と何が違うのか。また、最近のマスコミは辺野古基地計画も含めて「負担軽減」と言いだした。大量の土砂を使い豊かな生態系を持つ辺野古の海を埋め立て、ヤンバルの頭上にオスプレイを飛ばすことのどこが「負担軽減」なのか。やはり「敗退」と「転進」と言った大本営を連想せずにはおれない。

NHKに問う 吉田健正 (12月5日沖縄タイムス)

30分近く、「普天間基地は県外へ」という県知事選挙の流れ、二人の有力候補者の訴え、選挙結果、そして当選者の声を流した後、最後に急転してこれらの「民意」をしりぞけ、普天間の辺野古移設を説く政治部記者。

11月28日の沖縄県知事選挙を受けて翌日放映されたNHK番組「クローズアップ現代 沖縄の選択――普天間はどこへいく」を見て、最初の25分ほどの映像と最後の締めの間のあまりの落差に唖然とした。これは沖縄の民意と日米合意や権力に従うNHKの姿勢との落差だったのか、それとも沖縄の世論と東京の一記者の考え方との落差だったのか……。

番組によれば、県民の声も、二人の有力候補者の立場も、「普天間基地は県外へ」で一貫していた。当選した仲井真氏は、インタビューに答えて、普天間基地の危険性の早期除去の必要性、沖縄の過重負担軽減の必要性、それを解決しようとしない国に対する県民の苛立ちや怒り、全国が日米安保を負担するという必要性・公平性といった、県民の意思や自らの考えを繰り返し説明した。

しかし、番組の司会者や解説役を務めた政治部記者は、尖閣列島問題や朝鮮半島情勢といった、沖縄県ではなく国が対応すべき「周辺事態」を取り上げ、あるいは辺野古移設にこだわる民主党政権の基地負担の削減と経済振興という「懐柔策」を紹介するなど、最初から意図が見え隠れしていたが、番組の最後にそれが露呈した。

仲井真氏が、沖縄政策協議会が辺野古移設と経済振興を「リンク」させることには反対と述べたのに対して、記者は「名護も反発が強い……今後も鳩山への怒りが続いて県民感情は解消されないのか」と県内移設案に誘導しようとする。そして、仲井真氏が、「5・28(「県外」を「辺野古移設」に戻した日米合意)は頭越しで遺憾」「辺野古はまず不可能に近い」「普天間や海兵隊は沖縄を守るためだけではないので、日本全体で解決してもらいたい」と語ると、記者は「アメリカのスタンスは決まっている。普天間を辺野古に移設するか、普天間を固定化するか、の二者択一」と切り捨てた。

その上で、記者は打開策として、「(管首相は)どうして辺野古なのかをきちんと説明して、鳩山が県民の『県外移設』期待を裏切ったことについて『お詫び』するべき」と結んだ。沖縄の民意がどうであれ、日本は米国の意向に沿って辺野古移設を受け入れるべきだと、と主張したのである。

普天間の県内移設には反対という県民世論や二人の有力候補の声も、勝利した仲井真氏の、国は沖縄の民意をもとに米国と交渉すべし、日本の安全にとって安保が重要と言うのなら米軍基地を沖縄だけに押し付けるのではなく全国で考えるべしといった訴えも、完全に無視された。民意を代弁すべき公共放送NHKが、外国政府、国、防衛省、主要政党(自民党)の側に立って考え、65年間も米軍基地を背負わされてきた沖縄県民の訴えは切り捨てるというのは、あまりに一方的で差別的ではないか。ジャーナリズムから離れすぎていないか。NHKと国民は、それをヨシとしているのだろうか。(元大学教授)

吉田健正著『「戦争依存症」国家アメリカと日本』(高文研)
木村朗 ピーター・カズニック著(乗松聡子訳)『広島・長崎への原爆投下再考―日米の視点』(法律文化社)

参考までに・・・NHKへのご意見はこちらよりどうぞ。
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Posted by n_n at 01:29 │記事