2010年12月04日

公安警察の市民監視について・・・東京新聞記事

 沖縄は、県議会、市議会、市長、県知事も含め、県民の多くが日本政府の植民地政策に怒っている、行動する多くの市民、首長がいる。彼ら全ては「公安」(警察本部警備部公安課・公安係・外事課・外事係等)の監視対象です。
 かつての過激派といわれる人たちは、今は見る影もなく彼らの多くは暇を持て余しているにも関わらず「仕分け」の対象にもならない。自衛隊の市民参加グループも含めると数万人単位の国の組織が国民監視の為に働いていることになります。
 彼ら彼女らは、「仕事」を失わないために、「過激派」の数を水増しし、「容疑」をつくり出し、「合法的に」盗聴、尾行を繰り返し、ウソの報告書をつくり続けることを受け継いでいます。
 監視対象であった民主党が政権をとった今も、官僚の言うとおり、この体制を温存したまま

 沖縄差別に抵抗し、この島の環境を守ろうとしている人たち、戦争への協力を拒絶する人たちは、当然、監視対象です。
 私たちは、この事実を忘れてはならないし、許すことはできません。

 自己防衛のためのウソを重ねる組織がまともに機能するはずはありませんが、この度のリークで国民はその偏狭な活動の一端をやっと知ることが出来ました。被害を受けたイスラム関係者には気の毒だが、とても重要なことだと思います。

 ところが、新聞各社はリークについては小さく取り上げますが、この組織の持つ問題の大きさについては、マスメディアとしての警察依存体質からかほとんど取り上げることはありません。

 そんな中、きのう東京新聞がこの問題を真摯に取り上げて記事にしました。
 今回は、「沖縄」とは直接かかわりはないように見えるのですが、私たちが政府の植民地的支配に抗議するモノとして常に彼らにみはられていることを考えると、そうも言っていられません。

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外事警察の文書流出(2010.12.4,東京新聞 特報面より)

 警察の「ほおかぶり」は許されない 十月下旬に外事警察の機密文書がインターネット上に流出した事件。警察庁の安藤隆春長官は二日の定例会見でも「調査中」と述べ、流出の有無すら認めていない。尖閣沖の漁船衝突事件のビデオと違い、文書には市民の個人情報が含まれている。出版騒動もあって、被害は広がる一方だ。しかし、警察のみならず、国家公安委員会も沈黙し、国会でも議論がない。「責任不問」の事態が続いている。 (加藤裕治、中山洋子)

「いろんな人から『あんた何やっているの』『いったいどんな店』と言われる。気分が悪い」

 流出文書に記されていた飲食店を経営するイラン人男性は苦り切る。

「店に来るのは日本人が大半。テロリストと関係あるはずがない。警察は責任を認めて、被害をカバーするべきだ」

 イスラム教徒(ムスリム)の日本人男性は「警察から謝罪くらいあってもいいはず」と憤る。

 「事情聴取の記録は正しく、あの文書は本物。ただ、流出によって家族会議を開いた人、勤務先への影響で悩んでいる人もいる。警察にはもう自分以外の話はしないつもり。これまで日本社会に慣れない外国人ムスリムを支援する友好活動をしてきたが、今回の件で不信感すら持たれた」

 ネット上に百十四点に上る文書が流出してから一カ月余。文書には捜査員や警察の監視対象とされた人々の氏名、住所、顔写真、勤務先、家族構成や在日イラン大使館の銀行口座照会、海外捜査機関の捜査要請資料などが含まれていた。

 民間会社「ネットエージェント」の調査では、先月二十五日現在で二十一カ国・地域の一万二百八十六人がファイルを入手。先月下旬には、流出文書をそのまま掲載した書籍「流出『公安テロ情報』全データ」も出版され、初版の二千部はすぐさま売り切れた。

 情報は拡散する一方だが、その一因は警察が流出を認めないためだ。ある警視庁関係者は「出どころを特定できずに幕を引くのか、特定して公表するのか。意見が割れている」と庁内の動向を説明する。「警察庁から漏れたのでは」とも。

 上部組織の警察庁はというと「警視庁にしかない文書が多い」(ある幹部)と警視庁からの流出説に傾いている。「本物と認めなければ、守秘義務違反には問えない。仮に業務妨害で立件すれば、必ずしも本物である必要はない」と、あいまい決着を望む声もある。

 だが、「警察」から出たのはほぼ確実。被害者がいる限り、組織としての責任は生じる。それを問う手段はないのか。

 「明るい警察を実現する全国ネットワーク」の清水勉弁護士は「裁判で流出元に慰謝料を求めることができる」と提案する。警察が作成した文書と立証できるのか。同弁護士は「警察にしか分からない情報が多数あり、書き方も捜査側の視点。立証可能だ」とみる。

 ただ、難しい問題もある。外国人登録番号の流出がそれだ。番号は自治体や入国管理局などが保管する情報の整理に使われるが、原則変更はできない。清水弁護士は流出した番号を使い、第三者が当人になりすます被害の発生を懸念している。
市民不在-。流出被害者の苦悩など、どこ吹く風という警察の「ほおかぶり」の理由は何か。

 元警視庁警察官で公安担当の経験もある警察評論家の犀川博正氏は「国賠訴訟などで法的な責任を逃れたいからしらばっくれている」と話す。

 「今回もテロ組織と関係がないのにそう扱われた例があるが、昔から公安情報はずさん。流出しないという前提からか、点数稼ぎのためのでたらめが横行してきた」

 実際、犀川氏もかつて「監視リスト」の作成に携わったという。

 「例えば、共産党の集会の参加者を尾行して党員を割り出していた。尾行は難しくて三割も成功すればいい方。それなのに完璧と見えを張る者もいた。政府はこの機会にこそ、ブラックボックスと化した公安情報の清算を検討すべきだ」

 警察不祥事に詳しい森卓爾弁護士は「警察が監視対象者のリスト作成を認めないのは、今回に始まったことではない。過去にもずさんに捨てた公安資料が流出したことがあったが、その事実を認めなかった」と語る。

 似た例は少なくない。一九八六年に発覚した共産党の緒方靖夫国際部長(当時)宅盗聴事件でも、山田英雄警察庁長官(同)は国会で「過去も現在も電話盗聴を行っていない」と答弁。しかし、最高裁は八九年、警察が盗聴していた事実を認定した。

 警察ではないが、自衛隊の情報保全隊による市民運動の情報収集(二〇〇七年に表面化)事件もこの一種だ。この問題はその後、国家賠償訴訟に発展したが、被告の国は現在まで、情報収集文書を自衛隊が作ったか否かすら認めていない。

 今回の流出事件について、龍谷大法科大学院の石埼学教授(憲法学)は「一カ月以上も調べ、自分たちが作ったものかどうかも分からないとは理解しかねる」と言う。

 一義的な法的責任は流出犯にあるとしつつも、石埼教授は「尖閣沖のビデオとは違い、個人情報を漏えいされた被害者がいる。警察庁長官や国家公安委員長の責任も問われている」と指摘する。

 「法律も行政機関に個人情報の安全確保を求めている。情報を漏えいしたまま『分からない』と何も措置を講じず、その間に被害拡大を見過ごすことは許されない」

 ところで、この警察の「ほおかぶり」を事実上、容認しているのが国家公安委員会や国会だ。

 国家公安委員会は戦後、警察を民主的にコントロールするためにつくられた組織だ。委員長は国務大臣で、ほかに有識者五人の委員がいる。規定によると、昨年度の委員たちの年間報酬は二千八百~二千三百万円台。「週一回、定例会議を開いて、警察から報告を受けて審議する」(委員経験者)という。

 だが、森弁護士は「都道府県の公安委員会もほとんど名誉職。警察のおぜん立てでしか活動できない。国家公安委員会も連絡先は警察庁だ」と存在自体を疑問視する。

 国会はどうか。元民主党参院議員の平野貞夫氏は「警察当局が不都合な情報を隠すのは今に始まったことではない。それを追及しない現状は国会の著しい劣化を象徴している。何のために国政調査権を持っているのか」と厳しく批判する。

 結局、国家公安委員会も国会も警察への監視機能を果たしていない。森弁護士も前出の清水弁護士同様「やはり、今回の流出事件も被害者が集まって国を訴えるしかないのでは」と結論づけた。

<デスクメモ> 「国際テロ対策業務はカタカナが多くて苦手だ」。流出文書にあった一節だ。「意識改革が進んでいない」捜査員の一例とされている。きっと少なくないのだろう。カタカナが苦手なら、横文字や異文化理解はもっと不得手だろう。そんな人たちが国際的に影響を及ぼす仕事に携わる。無謀極まりない。 (牧)


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Posted by n_n at 02:45 │記事