2010年05月24日 11:23
首相、辺野古提示 団体代表ら経済報告を拒否 “振興策リンク”けん制 2010年5月24日 琉球新報
鳩山由紀夫首相と那覇市内のホテルで23日午後に懇談した県経済団体会議(知念栄治議長)は、基地受け入れの引き替えとも受け取れる振興策を提示されるのではないかとの懸念から、当初予定されていた経済状況報告を直前に拒否した。「アメとムチ」の振興策には乗らないという意思を明確に示すことで、政府をけん制した格好だ。
「知事との懇談の様子を報道で見たが、経済問題をお話しするような環境ではなさそうだ。今日はむしろ総理の基地問題に対するお話を聞いて、われわれとしても基地問題をどうすればいいのか検討させてほしい」。
懇談の冒頭、知念議長は話題を基地問題に限定するようくぎを刺した。鳩山首相が説明を受けるはずだった懇談の場は一転し、鳩山首相が辺野古移設を判断するに至った経緯について述べる「説明会」の様相を呈した。
「報告拒否」について、県建設産業団体連合会の呉屋守将会長は「県民の危険や苦労を売り渡すような野卑な団体には成り下がりたくない」と説明。県商工会連合会の国場幸一会長は「振興策なら沖縄担当大臣がいる。首相に話すのはそぐわない」と述べた。
経済団体会議の一人は「わざわざ会うのだから何かしら(振興策を)用意していると考えないといけない。何も出なかったことがニュースだ」と強調。基地と振興策のリンクを封じたい経済団体会議の思惑は成功したと言えそうだ。
(稲福政俊)